【連載14】イメージトレーニング(2)

 




 前回お話したように、イメージとレーングの第一段階は、「見ること」、「知ること」からは入ります。
野球を始めとするスポーツの世界で初心者に「球拾い」という作業をやらせ、先輩達のプレーを見
る機会を与えるということは、ちゃんとしたトレーニングのひとつになっていたと理解してください。
ただし、ここまで考えている指導者や選手は、ほとんどいなかったという事実もあります。伝統的な
トレーニングの中に、これをやるといいという形で入っていたと考えられます。次に、「まねをする」
という動作があります。たとえば、体育の時間に、新しいことを学ぶ時は、必ず先生(またはうまい
人)がデモンストレーションをして、それを見てから、まねをして技を身につけていきます。最初は、
aデモンストレーションをやった人の動きを第三者的に見て(人がやっている動作を思い出すという
イメージをしながら)、しかし自分でやる時は自分がやっているイメージ(目線が自分でやっている
目線)となります。つまり、スキーを学ぶ時に、インストラクターのあとを金魚の糞みたいに、ついて
いく光景があります。これは、教えてくれる人と同じ目線(まねをして滑るイメージ)でやるということ
で、これはかなり効果が期待できるやり方です。初心者が、新しい技を学ぶ時に(または教える時
に)、どの角度から見てマネをするかで、イメージの作り方がかわってくるからです。スポーツ心理
学という学問的背景から見ると、イメージトレーニングの基本は、リラクゼーションにあります。これ
は、リラックスした状態にしてイメージトレーニングをやらなければ、その効果が半減してしまうとい
う科学的根拠があるからです。コーチがただ言葉で、また怒りながら「イメージしろ」、「思い出せよ」、
「テレビを見てイメージしろ」などと指導しても、効果があまりないということです。この連載10で紹
介しました、リラクゼーションを実施してから、イメージトレーニングをやる方が効果的です。

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宮崎日日新聞掲載 高妻容一氏 著