【連載13】イメージトレーニング(1)

 




 最近は、イメージトレーニングという言葉が一般の人々まで理解していただけるようになりました。
これは、専門用語でビジュアライゼーション(Visualization)とかイメージュリー(Imagery)と言われ、
イメージを使ってトレーニングするということから和製英語で「イメージトレーニング」ができたと考え
られます。しかし、この言葉は、日本語の中にすでに定着しているために使いますが、イメージとい
う心理的スキルをトレーニングするという意味で理解してください。具体的には、頭の中で何かを思
い浮かべる(心像・想定・イメージ)することなのですが、一般の方は目を閉じてイメージすることが
イメージトレーニングだという見解の方が多いようです。つまり身体を使わないトレーニングだという
考え方のようです。しかし、実際には身体を使いながら行うトレーニングなのです。
 たとえば、野球部に入部した1年生が球拾いをよくさせられます。ここで1年生は、球拾いという作
業をやりながら、先輩達のプレーを見ることができます。つまり、自分がやること、やりたいことを
「見る」という第一段階があり、素質のある選手は先輩達のプレーを見ながら、「そうか、あの場面
ではこうやるのだな」などと考え、それをマネしようとします。素質のない選手は、「野球部に入った
のに、球拾いばかりと文句を言う」でしょう。ここで、あなたにお聞きします。「ラクロスのスローイン
グをイメージし、そのプレーを実際にやってみてください」今、これができた方はラクロスというスポ
ーツを知っており、そのプレーを見たことがあるかやったことがあるはずです。しかし、できなかっ
た方は、ラクロスを知らない、そのプレーを見たことがないために、プレーが実際にできなかった
のです。つまり、見たこともやったこともない、知らないことはイメージできないし、プレーすることも
できないことがわかります。

「連載14へ」






←戻る
宮崎日日新聞掲載 高妻容一氏 著