【連載1】スポーツ科学

 




 この連載を依頼された時、「宮崎は国体などにおいても弱い県のひとつです。低迷する宮崎の競技力向上をはかりたい」
というお話を聞きました。
 そこで、この連載では、どうしたら試合で勝つ可能性が高まるのか? また、どうしたら選手がもっとうまくなるのかという
「競技力向上」を目的に、スポーツ心理学という観点から、スポーツ選手のメンタル面強化の話をしていきたいと思います。

 最近のスポーツは、試合に勝つという競技力向上を目的にした時、スポーツ科学をいかにして応用するかが重要な
要因になってきました。 2002年、国立スポーツ科学センターが、日本のオリンピックでのメダル獲得を大きな目標として開所しました。
ここでも、世界に勝つためには、海外を手本にしてスポーツ科学を応用することが必要だとされています。
つまり、日本が世界に勝てないのは、科学的なトレーニングや科学的な指導法を導入していないからだと言われています。
 また、宮崎が国体で勝てないのは、なぜなのでしょうか? もしかして、同じ原因が宮崎のスポーツ界にもあるかもしれません。
そこで、この連載では、「心・技・体」と言われる言葉の「心(メンタル面)」を取り上げて、スポーツ心理学というスポーツ科学の観点から
話をすすめていくことにします。

 日本オリンピック委員会(JOC)の心理班では、1985年よりメンタル面強化のプロジェクトを作り、日本が世界で勝つために
やるべき事を研究してきました。その中で、オリンピック選手への質問から、オリンピックで重要な順から「心・技・体」だという
回答がありました。しかし、練習に費やす時間は、「技・体・心」の順番であり、「技・体」に関するトレーニングが練習時間の
ほとんどを占めていると回答がありました。
 つまり、オリンピックという大舞台(試合)で一番重要だと選手が感じている「心(メンタル面)」に関して、
ほとんどトレーニングをしていなかったという事実が浮き彫りにされました。



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宮崎日日新聞掲載 高妻容一氏 著